きき酒 いい酒 いい酒肴③/バイロイトにて~その①「カップ酒」

きき酒 いい酒 いい酒肴③/バイロイトにて~その①「カップ酒」

私は、実はオペラが大好きで、家にいる時間のほとんどはクラシカジャパンというクラシック専門チャンネルをつけっぱなしにしています。
そんな私の休日の一番の楽しみは、劇場でのオペラ観劇。そして、幕間のために、カップ酒を持っていくのです。幕間に、シャンパンやワイン片手に談笑しているお洒落な方たちの間で、カップ酒を楽しむのが好きなのです。
リヒャルト・ワーグナー生誕二百年の昨年。思い切ってドイツのバイロイト歌劇場に行ってきました。ここは、ワーグナーを崇拝するいわゆる「ワグネリアン」の集まるところ。タキシードや、ロングドレスの素敵な方たちにまざって、私も単衣の和服を着ていきました。
バイロイトは小さな町です。ミュンヘンから飛行機でニュルンベルグへ。そこからさらにバスで一時間。真夏の日本と違って、湿気が少なくからっとしています。
上演日は、とても華やかな雰囲気になりますが、休演日は、静かな公園の一角となっています。
休演日、ホテルから歌劇場まで、散歩してみました。ワーグナーが愛したこの土地。短い夏の一時を楽しむように、ゆったりと時間を過ごす人たち。
早坂先生:カップ酒雪中梅300pixDSCN6741
◆オペラの聖地で新潟小千谷の吟醸純米
ここで新潟小千谷の吟醸純米酒「越の寒中梅」をあけました。小千谷の銘酒「長者盛」を醸している新潟銘醸株式会社から出ているお酒です。厳冬期にゆっくりと低温で発酵させたため、豊かな味わいと軽快さを楽しむことができます。バイロイトの爽やかな空気の中で上越の高い山々を水源とする伏流水からできた「越の寒中梅」は、身体の中にすっとなじんでいきました。
有名な小千谷の錦鯉の飼育にも使われているその伏流水は、有機物が少なく、無色無臭でミネラルの少ない軟水であり、酵母の発酵を促進する成分が適度に含まれています。仕込み水に用いると醪(モロミ)がおだやかに発酵し、淡麗な酒質となり、柔らかくなめらかな酒に仕上がるのです。
流れるように雄大なワーグナーの楽曲。素直な吟醸酒。ワインももちろんいいですが、観劇にカップ酒も、なかなかいいですよ。
 (早坂美都/世田谷区)