きき酒 いい酒 いい酒肴④/バイロイトにて~その②「フランケン地方の赤ワイン/シュペートブルグンダーのこと」

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バイロイトにて~その②「フランケン地方の赤ワイン/シュペートブルグンダーのこと」

バイロイトは、ドイツのバイエルン州オーバーフランケン行政管区の郡独立市です。
◆アイスワインとワーグナーワイン
ドイツのフランケン地方というと、もっぱら白ワインのイメージがあります。この地方は寒冷地なので、「アイスワイン」という寒波で氷結してシャーベット状になったブドウを搾った甘口ワインが有名。そのイメージ通りなのか、劇場のカフェには白ワインは何種類かあっても、赤ワインはありませんでした。
ホテルの近くのワインとチョコレートを売っているお店にいくと、「ワーグナーワイン」なるものが売っていました。見ると中身は赤ワイン。「ワーグナーワイン」は、フランケン地方独特のボックスボイテルという丸くて平たい形のボトルに、ワーグナーの横顔が描かれていました。
ワーグナーワインは、お土産用としても、フランケン地方の普段のワインが飲みたくなって、そのまま地元のスーパーに足を運びました。そこで売っていたのは、750ccあたり1ユーロもしない格安のワインばかり。試しに赤ワインを買ってみました。
フランスブルゴーニュで作られている「ピノ・ノワール」というブドウは、ドイツでは「シュペートブルグンダー」というシノニム(別名)で呼ばれます。ブルゴーニュのワインというと、エレガントでしなやかで官能的。主張が強く、孤高なので、あわせる料理によってはぶつかってしまったりします。
◆ピノ・ノワールのワインの特徴は…
バイロイトで飲んだピノ・ノワールのワインは、完熟した果実味、ミネラル感、華やかなベリー系の香り、何の料理でも合うような、そんなのびやかな味わいでした。
感動したのは、その味もさることながら、価格がミネラルウォーターよりも安いことです。
ワーグナーワインは、ボトルのデザインが好きなので飲まずに飾っていますが、すっかりドイツの赤ワインに魅了されてしまったので、さっそく何本かお取り寄せしました。当然、値段は地元のワインとは違います。ボックスボイテルに入って綺麗なエチケット(ラベル)で飾られた洗練されたシュペートブルグンダーは、ブルゴーニュのピノ・ノワールとはまた違う風格を醸しだしていました。もちろん美味しいのですが、地元で飲んだ赤ワインの自然なのびやかさが懐かしく感じられ、やはりあの味は、その土地に行って飲むしかないのかな、と思いました。

(早坂美都/通信員/世田谷区)

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