きき酒 いい酒 いい酒肴⑮ 国産のキャビアとウォッカ
夏の暑い日、冷凍庫から取り出した冷たいウォッカは、定番のビールとはまた違った涼しさをもたらしてくれます。ウォッカのお供といえば、頭に思い浮かぶのがキャビアです。キャビアといえば、ロシアが有名です。
以前に、ウラジオストクからハバロフスクまでシベリア鉄道で移動したことがあります。ハバロフスクの地元のお店でキャビアを買おうとしたときです。「それは美味しくないから、やめたほうがいいよ」と年配の女性に言われました。どうやらキャビアには当たり外れがあるようです。
日本で国産のキャビアが売られていることをふるさと納税で知りました。さっそく、香川県東かがわ市に寄付して、記念品としておくられてきた国産キャビアを味見しました。生臭くなく、一粒ごとに艶があり、イクラをぎゅっと固めたような味わい、といえば少しは近いでしょうか。
◆社長の母校でチョウザメの養殖
これは、東かがわ市の引田中学校跡地にある旧体育館で養殖されているチョウザメから作ったものです。直径約3mの円形水槽四基が並び、体長数10㎝のチョウザメ約2000匹が泳ぎ回っています。
養殖業者の社長さんが、中学校跡地を選んだのは自身が同校の卒業生で、跡地の活用について市が募集をしていたのがきっかけ。「自分が過ごした校舎が朽ち果てていくのは忍びなかった」と土地と建物を購入したそうです。
活用策はキャビアと学校跡地という意外な組み合わせですが、その背後には既存設備の活用による、投資の抑制があります。旧体育館はそのまま活用して水槽を設置し、成長に合わせて体育館とプールを使い分けます。体育館では鳥などから守るため育て始めたばかりのチョウザメを養殖し、成長した後はプールに移すという具合です。
◆奥飛騨ウォッカは首相に選ばれる逸品
国産のキャビアには、国産のウォッカが似合います。奥飛騨ウォッカは、原料が米です。ウォッカを作った奥飛騨酒造は、飛騨金山町に江戸時代享保5年に創業した酒蔵です。飛騨地区の「しらかば」炭にて濾過し、6年以上貯蔵、熟成させています。
見た目も香りも味わいも、すべてにおいて限りなくクリアなお酒です。アルコールは55度、これだけ強いと冷凍庫に入れても凍りませんので、ひとくちサイズのグラスとセットで一晩凍らせ、ストレートでグイッとやります。なめらかで、甘みの残る口当たり、喉をトロッと流れて行く感触が楽しめます。
以前、小泉首相の頃、ロシアへサミットに出かける時に、お土産として当蔵の45年物のまろやかウォッカを持って行かれた…という逸話もあるお酒です。
最近は、地域包括、地域振興といった言葉を聞かない日がないくらい地域に目がむけられています。地域おこし協力隊の力を借りなくても、それぞれの地域の方たちが創意工夫されて、ものつくりをしているのを感じられる国産のキャビアとウォッカでした。
(早坂美都/広報・ホーム ページ部員/世田谷区)