きき酒いい酒いい酒肴No.23『二十四節気に響くブレンダ―の気概』(機関紙2017年12月1日号/No.562号)

きき酒いい酒いい酒肴No.23『二十四節気に響くブレンダ―の気概』(機関紙2017年1月1日号/No.562号)

年末年始は、いかが過ごされましたでしょうか。慌ただしい時間の合間に、ゆっくりと自分のためにくつろぎたい。そんな時に、ぴったりなのがジャパニーズウィスキーです。日本人の繊細な味覚より生み出されたウイスキーは、世界的に人気となり、手に入りにくくなってきています。


◆注目集めるジャパニーズウイスキー
ジャパニーズウィスキーは、1918年よりスコットランドに留学した竹鶴政孝によってスコッチ・ウイスキーの伝統的製法が持ち帰られたことが端緒です。竹鶴は壽屋(現サントリー)に在籍し、1923年開設の山崎蒸溜所の初代所長となり、後に「ニッカウヰスキー」を創業した方です。


◆冴えるブレンダ―の腕
中でも、「響」シリーズは海外で大変な人気です。響は、モルト原酒を何種類もブレンドしたものです。これこそ、日本人の味覚の鋭さ、ブレンダーの腕が冴えるものです。
モルト原酒は、大麦の麦汁を糖化・発酵させた発酵液を蒸溜し、熟成させることでつくられ、その味わいは、材料となる水や大麦の個性や気候条件、ポットスチル(蒸溜釜)や貯蔵樽の材質などによって変わってきます。たとえば、ポットスチルにはストレート型、ランタン型、バルジ型(ひょうたん型)といった形状の違いがあり、ストレート型は重厚な酒質を、ランタン型やバルジ型は軽快な味わいの酒質を生み出すとされています。
できたてのウイスキーの原酒は無色透明ですが、樽に貯蔵することによって熟成を重ねていきます。樽に使われるオーク材からリグニンやタンニンが原酒に溶け出します。リグニンはバニラの主成分であるバニリンなどの芳香物質となり、これが樽由来の甘い香りとなります。
響のボトルは、24面カットのデキャンタボトルです。24という数字は、1日24時間、1年二十四節気の意味がこめられているそうです。立春より、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨、立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑、立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降、立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒、という日本古来の季節を24四に分ける美しいならわしを表しています。
響を作ったブレンダーは、ブラームスの交響曲をイメージしたといいます。
美しい日本の二十四節気を何巡りもして醸し出されたウイスキー。その琥珀色を眺めながら、「今年1年をどんな年にしていこうか…」と、思いを巡らすのも大切な時間になることでしょう。
 (協会理事/早坂美都)