映画紹介⑳「モンサントの不自然な食べもの」
【2008年仏・加・独制作/マリー・モニク・ロバン監督】
「モンサントってどんな会社なの?」
「遺伝子組み換え作物は、本当にヒトや環境に安全 なの?」
映画は、ひとりの女性が、モンサント社の冷酷無比なアグリビジネス(農業ビジネス)の実態とモンサントをめぐる疑惑に、検索に検索を重ねて食と命が脅かされる実態に迫るドキュメンタリー作品です。
「作物をつくるには、除草が欠かせません」
「強力な当社製の除草剤の“ラウンドアップ“にも枯れない大豆」
「それが、当社の遺伝子組み換え除草剤耐性大豆です」
「人や家畜にはまったく害がありません」とモンサント社は答えます。
しかし、研究者はその危険性を指摘しました。
「最初は正常な細胞分裂に見える」
「しかし、分裂の過程で遺伝子が不安定になり、ガンのように異常になりま す」。
アメリカの第40代ロナルド・レーガン大統領(1981~89年)は小さな政府を志向し、企業の利益のため規制緩和政策をとりました。
続く第41代ジョージ・H・W・ブッシュ大統領(1989~93年)は、バイオテクノロジー推進に邪魔になる規制をすべて廃止しました。
食品や薬品の安全性を厳しく管理するはずのFDA(アメリカの食品医薬品局)副長官に就任したモンサントの弁護士は、「在来種と遺伝子組み換え種は実質的にはなにも変わらない」として、新しい法律や規制作りませんでした。
これらのことが現在のモンサントの問題を生み出した元凶だと、ドキュメンタリーは指摘します。
インドでは在来種の綿花は耐殺虫剤遺伝子組み換え綿花で、メキシコでは在来種トウモロコは駆逐されてしまいました。
メキシコでは遺伝子組み換え作物の栽培を国内で禁止していても、アメリカと結んでいるFTA(自由貿易協定)により、アメリカ産「遺伝子組み換えトウモロコシ」の輸入を阻止できません。
一方、アルゼンチンでは遺伝子組み換え作物国内栽培を許可していますが、その輸入を禁止するEU諸国には輸出できません。
モンサント社は、菜種、からし菜、オクラ、ナスなど、殺虫剤や除草剤と一体的に売り込む遺伝子組み換え種子を作り続けています。農家は、毎年の種子代金、一ヘクタール当たりの特許ライセンス料、除草剤や殺虫剤料を支払わねばなりません。契約違反があると、モンサント・ポリスを使って訴ええられてしまいます。
日本では、遺伝子組み換え作物の表示が義務づけられています。しかし、国産・輸入牛豚鶏肉、国内の謬・豚飼育場や養鶏場の飼料、納豆、もやし、マヨネーズ、菜種油など多種多様の加工品に、遺伝子組み換え作物が使用されている製品がかなり生産、流通しており、不安になります。さらに、現在進行中のTPP交渉の結果、多数の国がメキシコやアルゼンチンのようになりかねないかと心配です。
「種子を握れば、食料のす べてを掌握できます」
「爆弾や軍隊よりもはるか に強力に世界を支配でき る」
この映画は2008年にフランスで公開され、日本では同年六月、NHKで「アグリビジネスの巨人”モンサント”の世界侵略」として最初に放映。その後、12年に劇場公開され、レイチェル・カーソン賞などを受賞しました。
◆協会が4月12日に自主無料上映会
4月12日午後1時、当協会の事務所ビルの隣でこの映画の無料上映会を開催いたします。どなたでも無料でご覧になれますので、ぜひ、お越しください。
(協会理事/竹田正史)