【教えて!会長!! Vol.63】オンライン資格確認システム 原則義務化の撤回について

オンライン資格確認システムについて現状を教えてください。

政府は、2023年4月1日から保険医療機関などで「オンライン資格確認(電子資格確認)システム」(以下、「オン資」)の義務化を決め、医院に直接導入を促す電話がかかってくるなど、圧力ともとれる様々なアプローチが行われています。協会には現在、会員の先生方から「オン資」に関して数多くの問い合わせがきています。協会の「オン資」に対する考えは、9月号で経営管理部長談話(協会ホームページに掲載)、そして本紙2面の理事会声明に示しています。ぜひ、ご確認をお願いします。
すでに「オン資」の運用を開始している、または準備が完了、あるいは準備を進めている先生など、対応されている方が私の周りにいらっしゃいます。しかし、すでに対応されている先生方からもその運用に多くの疑問の声が寄せられています。他方、「オン資」の導入に迷われている先生が少なからずいらっしゃるのが現状です。
確認させていただきますが、現時点で協会は、あくまで「原則義務化」の撤回を訴えています。当然のことですが、将来の歯科医療のために医療の「ICT化」や「デジタル化」は避けることではなく、構築のため推進すべきと考えています。しかし、すべての保険医を対象とした今回の「原則義務化」には、素直に同意することはどうしてもできません。このことは8月26日から開始させていただいた「義務化に関するアンケート」「義務化撤回を求める署名」で多くの先生方が賛意を示されています。なお、このアンケート、署名の実施は、当初実施期間を9月末までとしていましたが、9月22日の2022年度第11回理事会において、会員の先生方のご意見を反映させるために、さらに実施期間を延長することが承認されました。まだご対応されていない先生は、WEB署名、あるいはFAXによる署名およびアンケートの回答をお願いします。結果は、随時保団連が収集したデータとあわせて関係各位(議員、厚労省、メディアなど)に伝えるデータとして活用させていただきます。

「原則義務化」に対してお困りの意見にはどのようなものが?

「対応が困難である」と協会に相談される先生の事情は様々です。例を挙げると「地域的に光回線が不通」「建物の構造上、導入費用(回線整備など)が高額になる」などの物理的問題、また「高齢で閉院予定がある」「小規模で対応するスタッフがいない」「患者数が少ない」などの個人的問題など、多種多様です。すなわち、「電子レセプト請求」を理由にして、一律に導入の義務化を押し付けられることはどうしても理解できません。

「オン資」の原則義務化撤回を求める理由をまとめてください。

「オン資」の原則義務化撤回を求める運動を全国規模で行っている保団連と協働しています。また、この案件の先に様々な問題があると考えています。以下に抜粋して示します。

・「オン資」の「原則義務化」を多くの医療機関に義務付ける必要性、合理性が理解できないため、導入は医療機関ごとの任意の判断に委ねるべきです。
・現状、患者側は保険証で受診することに問題がなく、マイナンバーカードで医療機関を受診したいと望んではいません。
・「23年4月までに義務化」と一方的に提示されたスケジュールは、個々の医療機関の状況を考慮していません。
・マイナンバーカードの院内での紛失・盗難、マイナンバーの漏洩などについてすべて医療機関側が責任を負わなければいけないことになっています。


国民に対してのマイナンバーカード取得義務化・普及のために医療機関を利用して、多くの負担を我々に強いる原則義務化は理解できません。今後も協会は、「オン資」導入の「義務化撤回」に向けて取り組んでいきます。
なお、導入に関して不安がある、疑問がある先生は、協会までお問い合わせください。また、先生方の意見を厚労省に伝えていきますので、ぜひご意見をお寄せください。


東京歯科保険医協会 会長 坪田 有史
(東京歯科保険医新聞2022年10月号8面掲載)