国が23年4月からオンライン資格確認義務化の方針を決めたことに対し協会では、「オンライン資格確認システム導入の義務化撤回」を求める理事会声明を発出した。
その後協会では、「オンライン資格確認システム導入義務化の撤回を求める歯科医師署名」を行い、10月13日までに549筆の協力があった。同時に行った「オンライン資格確認システムの導入義務化に関するアンケート」には「義務化反対」「医療機関は現状で問題がない」などの声が多く寄せられている。
コスト、情報漏えい、セキュリティ、事務負担が心配
「アンケート」は、機関紙、メール、FAXなどを通じて会員に実施し、10月20日までに549件(会員比9.1%)の回答を得た。
オンライン資格確認システム導入に関し心配している点を聞いたところ、コスト、情報漏えい、セキュリティ、事務負担が上位を占めた。具体的には「設備投資やランニングコスト上の負担」と回答したのが77.2%と最も多く、次いで「マイナンバーカード紛失やマイナンバー漏えい」が61.2%、「セキュリティ面」が61.0%とほぼ同数となった。「窓口の事務負担増」を挙げる回答も57.0%であった。
そもそも「必要性を感じていない」との回答が71.4%もあった。「保険証の原則廃止」に対しては、「反対」が80.7%と、が圧倒的であった。
導入は納得と同意のもと行われるべき
システム導入をすでに申し込んでいる方の中にも「(案内が頻繁に来るため)止むを得ず申し込んだ」など、納得はいかないが申し込みをした方の回答も目立った。
中には義務化賛成の意見もあり「デジタル化に反対しないでほしい」「すでに導入しているため反対はしないでほしい」「いまさら反対しても遅い」「必要な設備投資ができない医療機関は廃業もやむを得ないのではないでしょうか」などの意見もあった。
協会ではデジタル化については反対しておらず、システムを導入することにも異を唱えるものではない。反対しているのは「一律義務化」についてである。システム導入は、それぞれの医療機関がそれぞれの状況に合わせ納得と同意の上で行われるべきである。患者数が少ない医療機関や、すでに数年後に閉院を予定している、設備投資に回す余裕がないなど、各医療機関の状況に合わせた対応を図るべきであると考えている。