すべての歯科医療機関が安心して診療できるように

オンライン資格確認システムの導入に経過措置が設けられることは、導入できない事情を抱えていた歯科医療機関にとってはひとつの安心材料である。しかし、あくまでも経過措置であることから、政府は全保険医療機関を対象とした導入義務化の強硬姿勢は崩していない。経過措置の期間だけでは対応が難しい歯科医療機関もあり、今後も国に対して、〝原則義務化〟撤回を求め続けていく必要がある。
一方で、導入した医療機関に対し、ランニングコストなどの費用補填として、10月よりマイナ保険証利用の際に初診時の加算が始まったが、今回の中医協では、さらに現行の健康保険証の患者に対し、初・再診料に加算する案が示された。マイナカードを普及させる目的で、診療報酬を改定し、患者負担増を行ってよいものなのか。政府は24年秋にマイナ保険証の事実上義務化を打ち出しているが、現行の保険証がなくなれば、患者はセンシティブな情報にアクセスできるマイナカードを常時携帯しなければならなくなり、その不安は大きい。
医療DX化は本来、安心安全の医療のために行われるべきもので、すべての保険医療機関・国民に負担を強いるものであってはならない。今回の経過措置の設定は政府の強引な導入〝義務化〟に対する開業医の切実な声が反映された結果である。
協会は、今後もオンライン資格確認システム導入の〝原則義務化〟については撤回を求めていく。また、導入を行う歯科医療機関に対しては、サポートも行っていく。導入する、しないに関わらず、すべての歯科医療機関が安心して診療が続けられるよう働きかけを続けていく。何か不安なことがあれば、協会までぜひお寄せいただきたい。

 

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