電子処方箋について教えてください。
「電子処方箋」とは、電子的に処方箋の運用を行う仕組みです。そのほか、複数の医療機関や薬局で直近に処方・調剤された情報の参照、それらを活用した重複投薬などのチェックなどが行えると紹介されています。運用開始は2023年1月からですから、来月からスタートします。
社会保険診療報酬支払基金から11月の振込通知書が送付された封筒に「電子処方箋の導入準備をはじめましょう!」との案内が同封されていました。また、オンライン資格確認のために顔認証付きカードリーダーを申し込むために登録した「医療機関等向けポータルサイト」からも、「電子処方箋」の導入を促す内容のメールが届いています。それらに反応して、当会会員から協会に「電子処方箋」についての問い合わせの数が増加しています。
先電子処方箋の導入に必要なものは?
まずHPKIカードの発行申請が必要です。歯科医師は一般財団法人医療情報システム開発センターに発行申請を行います。そこからはシステム事業者へ発注し、パソコン(オンライン資格確認の機器など)の設定などを経て、運用開始します。その後、補助金申請という流れが示されています。
HPKIカードとは?
HPKIカードは資格証明書です。所持する人が医師・歯科医師・薬剤師の資格を有する者であることを証明するカードです。電子処方箋を導入すると、従来のハンコによる記名押印、あるいは署名ではなく、HPKIカードの電子証明書の情報を用いて、電子的に署名を行うので、電子処方箋を導入する場合は、HPKIカードが必要になるのです。なお、HPKIカードの発行手数料は、5万5000円(税込み)で、カードの有効期限は約5年です。また更新料は5万5000円で、継続するためにはランニングコストが発生します。
歯科にも必要ですか?
行政は、電子処方箋を医療機関・薬局の多くに導入してもらうことを目指しています。歯科医療機関もその対象です。行政側は、歯科医療機関への導入メリットを示しています。しかし、私見ですが、処方の頻度が高い薬剤が、抗生剤や消炎鎮痛剤のみであったり、また院内処方を行っている歯科医療機関に導入のメリットが多くあるのでしょうか。HPKIカードの発行手数料からそのランニングコストと効果にも疑問があります。概要は、「オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係 医療機関等向けポータルサイト(QRコード)」の中にある電子処方箋の案内ページをご覧ください。
今後も適宜、本紙をはじめ、デンタルブックメールニュース、協会ホームページなどでお知らせします。
東京歯科保険医協会 会長 坪田 有史
(東京歯科保険医新聞2022年12月号4面掲載)