レセコン&オンライン資格確認システム 1台のPCで運用した場合の メリットとデメリットは?

WEBに係る歯科関連の法令やトラブル対応などについて、
歯科専門にサイト制作、運用、コンサルディングを手掛ける専門家が解説する本連載。
今回は「
レセコン」と「オンライン資格確認システム」を1台のPCで運用した場合のメリットとデメリットについて―。

 歯科診療所の床面積と同様に、PCを購入する資金にも限りがあることは言うまでもありません。同じ機密情報を取り扱うなら「レセコンとオンライン資格確認システムのPCを同じものにして運用したい」と思うのが自然ではないでしょうか。今回はこの2つの役割を1台のPCに集約した場合のメリットとデメリットを考えてみます。
 まず前提として、厚労省はレセコンと同一の院内ネットワークを使うことを想定してオンライン資格確認システムの導入を義務化しています。既にIP-VPNに接続されているレセコンを使用している診療所では、既存の院内ネットワークを利用することで新たな院内ネットワークやインターネット回線を増設する必要はありません。
 管理者は、管理すべきPCの設置が1台に限定されるので、気持ちとして負担が軽くなるでしょう。さらに、スペースが限られる診療所では、複数台のPCを置くことが難しい状況もあるでしょう。院内がIT企業のように、多数のPCが並ぶ無機質なレイアウトになりづらいという点もメリットです。メリットについてはある程度容易に想定できると思いますが、問題はデメリットに対する考え方です。
 まず最もネックになるのは、レセコンにも接続されたPCを受付に設置して、常に患者さんの目に触れる場所で運用しなければならないことです。受付は、お昼休みや夕方の混雑する時間帯にたくさんの患者さんが通ります。顔認証端末が繋がったPCが、レセコンにも繋がっているのです。受付のスタッフが目を離すタイミングがあれば、それなりのリスクを伴います。センシティブに扱うべき情報が、患者さんから見えてしまう危険性も排除できないでしょう。
 それだけではありません。盗難、破損ほか、PCに何か不具合が生じると、その瞬間からレセコン、オンライン資格確認のどちらも使用不能になるという危機的な状況に陥ります。これは、診療所運営に大きなダメージになる可能性がありますので、管理の手軽さだけでなく、「めったに起こらない最悪のケース」を〝想定外〟とみなさずに、常に想定してリスクを意識しながらどのように回線を引き、どのようにPCを配置するかを再検討してみてください。

クレセル株式会社

(東京歯科保険医新聞2023年3月号4面掲載)