WEBに係る歯科関連の法令やトラブル対応などについて、
歯科専門にサイト制作、運用、コンサルディングを手掛ける専門家が解説する本連載。
今回のテーマは、診療所のPCでUSBメモリを使用すると危険なの?―。
診療室のレセコンに限らず、個人で使用しているパソコンからUSBを介して他のパソコンとファイルを共有する場合には、ウイルス感染のリスクが常に存在します。特に、「入れた記憶の無いどこかで見たことのあるアイコン」が入っていた場合には、ウイルス感染が懸念され、USBを媒介とした感染である可能性があります。
このようなUSBの使用による感染を回避するためには、以下の注意点を守ることが重要です。
まず、ウイルス感染のリスクを軽減するために、USBを使用する前には必ずウイルススキャンを実行し、USBそのものがウイルスに感染していない安全な状態であることを確認する必要があります。また、ファイルを共有する際には、共有先のパソコンがウイルス対策ソフトウェアで保護されていることが大切です。万が一、USBが感染している場合でも、ウイルス対策ソフトウェアがパソコンを感染から守ってくれます。
ウイルスに感染してしまうと、センシティブな医療情報が含まれるレセコンのデータが漏洩するリスクがあります。漏洩した情報が悪用された場合、患者や社会からの信頼を失いかねません。そのため、パソコン間でファイルを共有する場合には、細心の注意を払うことが必要です。マルウェアと言われる悪意を持ったウイルスに感染した場合、情報漏洩のほか、医療情報を含むデータが改ざんされたり、削除されたりする可能性があります。このようなことになると、患者の医療に影響が出るだけでなく、法的な問題にも発展する可能性があります。
最後に、共有するファイルが機密情報である場合には、暗号化することでセキュリティを強化することができます。暗号化することで、不正アクセスや盗聴などからファイルを保護することもできます。
以上の注意点を守ることで、USBを介してファイルを共有する際のウイルス感染やセキュリティリスクを軽減できます。しかし、完全にリスクを排除することは困難であるため、機密情報の入ったPCにはUSBをはじめ外部からのアクセスを一切排除する業務の流れが最高の対策です。
クレセル株式会社
(東京歯科保険医新聞2023年5月号11面掲載)