歯磨きは歯科の二大疾患を左右/どんな歯ブラシがいいのか知りたい…
◆必ず爪楊枝を…
この歳になって、実は歯磨きに苦労しています。10年くらい前から毎日、朝食と夕食後に電動歯ブラシで磨いています。胃の全摘手術を受けた後ですが、いつからか、歯磨きの後、必ず爪楊枝を使うようになりました。
というのは、歯を磨いても隙間に入った食べ物のカスが取りきれないからです。家内が「デンタルフロスを使ったらいい」というので、付き合い上、時々は使うのですが、若い頃にあまり使ったことのない道具はなかなか親しめない感じです。爪楊枝では結構、大きなカスが取れます。
◆どんな歯ブラシを使えばいいのか
一番知りたいと思うのは、よい歯磨きの仕方、具体的にいえば、どんな歯ブラシがいいのか、ということです。
新聞や雑誌の記事にいろんな歯ブラシが出ています。電動歯ブラシのほかに、従来の手磨きの歯ブラシもあります。
電動歯ブラシに限っても、たくさんのメーカーからいろんな製品が出ているようです。歯ブラシの形が長方形、四角、丸い、あるいは特殊な形のもの、往復運動のほか、回転しながら磨くものもあります。
◆電動歯ブラシのランキングまで
私が使っているのは普通の電動歯ブラシですが、高速の水流でプラークを除去し、細菌を壊す音波歯ブラシ、もっと細菌の破壊力が強いという超音波歯ブラシなどの高級品も登場しているそうです。さらにびっくりしたのは、「電動歯ブラシ売れ筋ランキング」といったサイトがあり、1位から80位まで紹介されていたことです。値段も大きな違いです。
電動も手磨きも効果に大差はない、とのネット記事がいくつか目につきました。そうなると、職人手作りの微細加工製品、日本の発明というローラー型回転式など、手磨き歯ブラシの広告にも目を引かれました。
◆消費者はどうやって商品を選ぶのか
改めて、消費者はどうやって製品を選んでいるのか興味がわきます。歯科医の先生の多くは治療専門で、予防や管理が得意でないはずですが、適切にアドバイスできるのでしょうか。頼まれて親しいメーカーさんの製品を勧めるのか、歯科衛生士さんに応対させるのでしょうか。
◆いや、やっぱり…
歯磨きは歯科の二大疾患を左右します。それなのに、歯科の学会や団体は専門家として歯ブラシを評価せず、メーカーの広告や消費者の好みに任せていればいいのでしょうか。
いや、やっぱり今より患者が減ったら…という話でしょうか。
医療ジャーナリスト 田辺功
「東京歯科保険医新聞」2016年11月1日号6面掲載
【略歴】たなべ・いさお/1944年生まれ。68年東京大学工学部航空学科卒。同年朝日新聞社入社。2008年、朝日新聞社を退社後、医療ジャーナリストとして活躍中。著書に「かしこい患者力―よい病院と医者選び11の心得」(西村書店)、「医療の周辺その周辺」(ライフ企画)「心の病は脳の傷―うつ病・統合失調症・認知症が治る」(西村書店)、「続 お医者さんも知らない治療法教えます―こんな病気も治る!」(西村書店)ほか多数。