現行の健康保険証の存続を求める声/日弁連も意見書を提出/運動は多方面に拡大
◆署名は患者、医療機関・介護施設から続々と
協会は、全国の保険医協会・医会とともに健康保険証の存続を求める請願署名に取り組み、5,000筆を超える署名が寄せられ、国会議員に提出した。全国では17万筆超の署名が集まった。
署名は、医療機関だけではなく、患者や介護保険施設などからも続々と集まっており、日本弁護士連合会が健康保険証の存続を求める「マイナ保険証への原則一本化方針を撤回し、現行保険証の発行存続を求める意見書」を総務省などに提出したことをはじめ、多方面に運動が広がった。
◆強引な利用推進で医療現場は混乱
4月のマイナ保険証の利用率は未だ低迷しており、5月時点では7.73%と医療現場ではほとんど使われていない。このような状況について国は、低迷の原因は医療機関の声掛けにあるなどとし、診療所と調剤薬局に最大10万円(6月21日の社会保障審議会医療保険部会で2倍の20万円に引き上げを決定。診療所・調剤薬局20万円、病院40万円に)の「一時金」やマイナ保険証の提示を求める台本を用意し、医療機関に利用推進を押し付けている。この強引な推進策のため、医療現場では混乱が生じており、「保険証の存続を求める国会内集会」では、患者サイドから「『お前たちは10万円ほしさにマイナって言うんだろう』と言われ、受付事務員にマイナ保険証を投げつけられる」というトラブルを経験した医療機関があったことが報告された。
◆厚労省のチラシには資格確認書の案内なし
また、厚労省から示された配付用チラシは、本年12月2日の健康保険証廃止やマイナカードによる受診の呼びかけのみが強調され、マイナカードがない人やマイナカードを持っていてもマイナ保険証の利用登録をしていない人などには、代わりに「資格確認書」が交付されるといった本来患者に伝えるべき情報が十分に記載されていない。そのような中で、既に混乱している医療現場が、さらにその対応に追われることになる。
混乱を解決するには、現行の健康保険証を残すことが重要であり、協会はこれまでも国会議員要請などを通じて広く訴えてきた。
◆現行の健康保険証の廃止はありえない
国は、健康保険証の新規発行を終了させる改正法案作成に向けて、パブリックコメントを募集していたが(6月22日で終了)、協会がホームページなどで広報したところ、会員を問わず存続を求める多くの方々から問い合わせが寄せられた。
協会は、「やっぱりキミが必要だ」を合言葉に、引き続き、健康保険証の存続を求めていく。