医科メディアから見た歯科医療界④ 日歯記者会加盟審査で見たメディアとの旧態依然な関係

日歯記者会加盟審査で見たメディアとの旧態依然な関係

今村雅弘前復興相を激高させた記者会見で、一時話題となった記者クラブ制度の弊害問題を思い出した。

あの会見での質問者はフリージャーナリストだ。一般的には省庁ごとに記者クラブがあり、クラブに加盟していないと会見に参加できない。ところが復興庁の場合、クラブがなかったので会見に参加できたようだ。日本の会見では発表する側も記者側も丁寧で礼儀正しくあろうとする。特に、親睦組織的な側面を持つ記者クラブにはその傾向が強い。しかし、一匹狼的なフリージャーナリストには、そのような予定調和は通用せず、約七分間も粘り強く厳しい質問を繰り出した。

記者クラブをめぐっては、以前からフリーランスや外国メディアなどから「排他的な権益集団」と批判的な声があがっており、長野県知事時代の田中康夫氏が「脱・記者クラブ宣言」をしたり、民主党政権が官庁の記者クラブオープン化を進めようとしたりした。現在も徐々にではあるがオープン化は進んでいる。

◆半年以上検討中の日医

実は、弊社が日本医師会プレスクラブに加入申請した際、半年以上待たされた。今村聡日医副会長が日医への理解を得ようと本を出した際、弊誌のブックレビューで紹介記事を載せ、その中で「日医のイメージは行政とメディアによって歪められたという指摘は納得しかねる」と書き、「半年以上、検討中」の事実を述べ、「どのメディアにもオープンであってこそ『医師の代表機関』ではないのか」と指摘。後日、立食パーティーで著者の今村氏にお会いした際、思い切ってそのことを話したところ、直後に加盟できた。

◆1年後審査の歯科記者会

弊誌では、日医と執行部に対し厳しい記事を載せているが、横倉義武日医会長は「日医に対する激励だと受け止めている」と話す。厚生労働省には、一般紙やテレビ局が加盟する厚生労働記者会と、専門誌が加盟する厚生日比谷クラブがあり、その会員は日医プレスクラブに自動的に加盟できる。しかし、それ以外のメディアが入会するには、企業に所属し、媒体を持っていることが前提だ。

この連載を持ったこともあり、日本歯科医師会の歯科記者会にも加盟しようとした。日歯に連絡すると、クラブ幹事社に連絡を取ってくれとのこと。そうすると、近々開く総会で幹事社が交代するので、新幹事社に連絡を取ってほしいという。新幹事社に連絡を取ると、加盟の趣旨書、発行媒体、会社概要を送ってくれとの要望。送った後に連絡すると、記者会の加盟社は現在、歯科メディアだけで、加盟審査は来年春の総会まで待たないといけないと言われた。日歯は、今後も日本の歯科医療を進めるために牽引力を発揮しなければならない。その際、メディアの存在は重要かつ大切と考えるが、如何だろうか。

 

筆者:元「月刊 集中」編集長 鈴木 義男

「東京歯科保険医新聞」201761日号6面掲載