〝虫歯〟の有無 目立つ「二極化」/学校歯科治療調査懇談会を開催

養護教諭8名と意見交換

協会が2月に結果を公表した「学校歯科治療調査」(202310月実施)を踏まえ、627日、協会会議室で養護教諭との「学校歯科治療調査」懇談会を開催した。調査に協力していただいた小・中・高等学校の養護教諭8名を招き、学校現場の声を聴き取ることや、調査結果の深掘りを目的とした本懇談会。子どもや保護者の様子、歯科受診の実態、歯科保健指導の取り組みなどを巡り、活発な意見交換が行われた。中には、「虫歯になっている子どもが少なくなっている一方で、虫歯が多い子は存在し、二極化している」という意見もあがった。虫歯が多い子どもの理由については、経済的理由や家庭環境、外国籍の子どもで親に治療の必要性が伝わっていないなど、問題は多岐に渡っていることが浮き彫りになった。

参加者からは、「他の学校ではどのように受診勧告をしているか」との質問があり、「受診してくれない時は、担任の先生と保護者との2者面談時に、担任から説明するようお願いする」「クラス対抗で虫歯予防のポスターを作成するなど、学校全体で取り組むことで、歯科への意識付けを行っている」などの意見が出された。その他、「給食後の歯磨きの習慣を取り入れたいが、水道設備の問題があり難航している。学校や部活動、アルバイトで歯科治療に行く時間が割けない子どもに受診してもらうことが難しい」との意見も出された。

また、一部負担金については、東京都では一部を除く多摩地区で、受診1回につき200円の窓口負担があり、歯科受診の妨げになっているとの指摘が以前からある。しかし、高校生等医療費の助成(マル青)の開始以降、東京都に住む高校生は歯科治療費が助成される一方で、隣接する他県に住む生徒には、依然として負担金が発生するため、受診勧告がしづらいという意見があった。住んでいる場所で一部負担金が変わってしまう問題は多摩地区だけでなく、全国的な問題になっていることも分かった。

本懇談会で提起された意見、要望、現場からの切実な声は、今後の行政機関への要請活動などに活かし、子どもの口腔の健康を守る取り組みにつなげていく。

<参加者の声>

【原里実さん/東京家政大学附属女子中学校・高等学校養護教諭】

 私立校でしか勤務経験がないため、公立校の状況を知ることができ、とても良かった。公立校では、居住地域と歯科受診の傾向に関連性があるが、私立校は生徒の居住地が公立校よりもさらに広域であるため、生徒や保護者へ統一したアプローチをするのが難しいと感じている。より学校歯科医との関わりを持って取り組んでいく方向性が大切だと思った。歯科講話を保護者会の日に実施するなど、保護者へのアプローチを考えていきたい。また、行政に対して声をあげ、制度自体を変えていくような方法もあることを知ることができて良かった。

【国分寺市立第一小学校養護教諭】

 地域や保護者の意見を取り入れながら進めなければならない点が難しい。今日の懇談会を経て、より家庭での虫歯予防の取り組みを推進できる方法を模索してみたい。クラス対抗で虫歯予防のポスターを作成するなど、児童が楽しくなる、みんなが前向きになるような取り組みをやってみたい。