新規発行終了まであと3カ月 改めて問う 「本当に健康保険証を廃止してよいのか?」

新規発行終了まであと3カ月 改めて問う 「本当に健康保険証を廃止してよいのか?」

新規発行終了まであと3カ月 改めて問う  「本当に健康保険証を廃止してよいのか?」

◆利用率は未だ11% 患者は使いたがらない
厚生労働省の公表資料によると、マイナ保険証の利用率は、7月時点でも11.13%に留まる。署名などを通じて協会に寄せられた意見を見ると、利用率が低い理由として、マイナカードの紛失および利用時のトラブルへの不安がうかがえる。また、高齢者にとって新規発行終了まであと3カ月 改めて問うマイナ保険証が使いづらいことが、介護を担う家族、および介護施設職員などから指摘されている。
このような状況の中、全国保険医団体連合会は、トラブル事例を解説した2本の動画「マイナ保険証使われない理由はコレ」「マイナ保険証トラブル頻発これは無理やろ…」をYouTubeの公式チャンネルに公開。
わかりやすいストーリー仕立てになっており、これらを見ると、本来の目的である資格確認の手法で考えた場合、患者にとっては健康保険証の方がマイナ保険証よりも便利で使いやすい場合が多いと言える。つまり多くの患者が積極的にマイナ保険証を使いたくなるような状況ではない。さらに、窓口で患者が提示するものの種類が増え、業務負担も懸念される(表1)。


◆資格確認方法が複数に本当に利便性が上がるのか?
【オン資未導入の医療機関は「資格情報のお知らせ」で確認】
12月2日以降に現在の健康保険証の有効期限が終了した後は、マイナ保険証の有無で患者が窓口で提示するものが変わるのは、表1の通りである。マイナ保険証を持つ患者はマイナ保険証を提示するが、オンライン資格確認システム(以下、オン資)未導入の医療機関を受診する場合は、マイナ保険証に加えて今後保険者から送付される資格情報が記載された「資格情報のお知らせ」を提示する(図1)。


一方、マイナ保険証を持っていない患者は、今後保険者から送付される「資格確認書」を提示する(図2)。窓口対応が複雑になることが明らかだろう。


特に、現在の健康保険証の有効期限は、各保険者の状況や転勤などによる変更といった事情で患者ごとに異なるため、新旧含めて提示するものが12月2日以降は複数存在する。これまで示された主な資格確認方法を列記していくと、細かい方法も含めて9種類あることになる(表2)。

資格確認方法の複雑化は、これを実質的に管理する保険者の負担増にもつながる。実際に保険者の職員などからは、その問題点が指摘されている。つまり、政府は利便性を強調するが、本来の目的である資格確認方法としてみた場合、患者、医療機関および保険者の三者において、今の健康保険証を使った方が良いことになる。
【健康保険証を残すことが最も良い方法】
政府は、健康保険証を廃止してマイナ保険証を推し進めようとしているが、今の健康保険証を残した方が良い部分が多い。協会は、引き続き全国の保険医協会・医会とともに、署名用紙(図3)を国会に提出して健康保険証の存続を求めていく。10月には、署名用紙を改めて送付する予定である。以前署名した方でも再度署名することは可能なので、ぜひ署名にご協力をいただきたい。