後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について

後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について

10月1日から先発医薬品(長期収載品)の選定療養化が開始されます。 長期収載品の対象医薬品は1095品目、歯科で使用頻度の高い医薬品も含まれます。
ただし、長期収載品のすべてが選定療養となるわけではなく、条件に当てはまる場合は選定療養の対象にはなりません。
処方箋様式は10月から変更ですが、従来の様式を修正して使用することも可能です。
【医療機関・薬局の方向けのチラシ】(厚生労働省)

1.対象となる要件と患者負担
選定療養の対象になる場合
①医師・歯科医師が医療上必要があると認めた場合(院外処方の場合は処方箋の「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」または「×」を記載した場合)
②後発医薬品の在庫状況等を踏まえ、医療機関や保険薬局で後発医薬品が提供することが困難な場合、のいずれかに該当しない場合
対象になる場合、先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1相当の料金を特別な料金(選定療養)として患者から別途受領します。「特別の料金」は課税対象であるため、消費税分を加えて受領してください。

2.対象となる医薬品
以下①または②が対象です。
対象医薬品リストは厚労省HP「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」からご確認できます。
①後発医薬品が初めて薬価基準に収載された日の属する月の翌月の初日から起算して5年を経過している医薬品で後発医薬品置き換え率が1%以上のもの
②後発医薬品の置き換え率が50%以上であるもの
【対象となる歯科の医薬品の例】
・ボルタレン錠25㎎、ロキソニン細粒10%、ジスロマック錠250㎎など。

長期収載品を選定療養の対象とする場合の後発医薬品の価格との比較について厚労省でリストを作成しています。ご参照ください。
※示されている額はあくまでイメージであり、実際に窓口で負担する額とは異なることにご注意ください

後発医薬品との価格比較リスト[487KB]別ウィンドウで開く

3.レセプト記載
(1)選定療養の対象とならない場合のレセプト・処方箋記載
①院内処方の場合のレセプト記載
医療上の必要があると認められる場合、および後発医薬品の在庫状況等を踏まえ、後発医薬品を提供することが困難で選定療養の対象とならない場合は、別表1の理由より選択して、レセプトの「摘要」欄に記載します。

コード レセプト表示文言
820101320 長期収載品と後発医薬品で薬事上承認された効能・効果に差異があるため
820101321 患者が後発医薬品を使用した際、副作用や、他の医薬品との飲み合わせによる相互作用、長期収載品との間で治療効果に差異があったため
820101322 学会が作成しているガイドラインにおいて、長期収載品を使用している患者について後発医薬品へ切り替えないことが推奨されているため
820101323 剤形上の違いにより、長期収載品を処方等の必要があるため
820101324 後発医薬品の在庫状況等を踏まえ後発医薬品を提供することが困難なため

②院外処方の場合の処方箋記載
処方箋の「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」または「×」と記載し、「保険医署名」欄に署名または記名、押印します。
記載がない場合、薬局での聴き取りにより「患者希望」が確認できた場合、選定療養の対象となる可能性があります。
(2)選定療養の対象となる場合のレセプト・処方箋記載
①院内処方の場合のレセプト記載
当該医薬品の後に「(選)」と記載し、所定単位につき、選定療養に係る額を除いた薬価を用いて算出した点数を記載します。
【記載例】
ジスロマック錠250㎎(選)3錠 43×3
②院外処方の場合の処方箋記載
処方箋の「患者希望」欄に医薬品ごとに「✓」または「×」と記載する。

4.疑義解釈より抜粋
(問)医療上の必要があると認められるのは、どのような場合が想定されるのか。
(答)保険医療機関の医師又は歯科医師(以下、医師等)において、次のように判断する場合が想定される。
① 長期収載品と後発医薬品で薬事上承認された効能・効果に差異がある場合
(※)であって、当該患者の疾病に対する治療において長期収載品を処方等する医療上の必要があると医師等が判断する場合。
(※)効能・効果の差異に関する情報が掲載されているサイトの一例
PMDAの添付文書検索サイト
日本ジェネリック製薬協会が公開する「効能効果、用法用量等に違いのある後発医薬品リスト」
② 当該患者が後発医薬品を使用した際に、副作用や、他の医薬品との飲み合わせによる相互作用、先発医薬品との間で治療効果に差異があったと医師等が判断する場合であって、安全性の観点等から長期収載品の処方等をする医療上の必要があると判断する場合。
③ 学会が作成しているガイドラインにおいて、長期収載品を使用している患者について後発医薬品へ切り替えないことが推奨されており、それを踏まえ、医師等が長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合
④ 後発医薬品の剤形では飲みにくい、吸湿性により一包化ができないなど、剤形上の違いにより、長期収載品を処方等をする医療上の必要があると判断する場合。ただし、単に剤形の好みによって長期収載品を選択することは含まれない。

(問)院内採用品に後発医薬品がない場合は、「後発医薬品を提供することが困難な場合」に該当すると考えて保険給付してよいか。
(答)患者が後発医薬品を選択することができないため、従来通りの保険給付として差し支えない。

(問) 医療保険に加入している患者であって、かつ、国の公費負担医療制度により一部負担金が助成等されている患者が長期収載品を希望した場合について、長期収載品の選定療養の対象としているか。
(答)長期収載品の選定療養の制度趣旨は、医療上必要があると認められる場合等は、従来通りの保険給付としつつ、それ以外の場合に患者が長期収載品を希望する場合は、選定療養の対象とすることとしたものであることから、今般、対象外の者は設けておらず、国の公費負担医療制度の対象となっている患者が長期収載品を希望した場合についても、他の患者と同様に、長期収載品の選定療養の対象となる。なお、医療上必要があると認められる場合に該当する場合は、従来通りの保険給付として差し支えない

(問)生活保護を受給している患者が、単にその好みから長期収載品を希望した場合は、特別の料金を徴収することになりますか。
(答)生活保護受給者である患者には、単にその嗜好から長期収載品を希望した場合であっても、後発医薬品を処方等又は調剤することとなります。そのため、特別の料金を徴収するケースは生じません。

<そのほかの疑義解釈>
長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について
(その1) 
(その2)
(その3)
(その3)の一部訂正について

5.院内掲示について
「後発医薬品のある先発医薬品の処方等又は調剤に係る費用徴収その他必要な事項を当該保険医療機関及び当該保険薬局内の見やすい場所に掲示しなければならないものとする」とされています。掲示する内容については、厚労省HPのポスターを参考してください。