【教えて!会長!! Vol.87】10月から始まる先発医薬品の負担増

教えて! 会長!! Vol.87 / 10月から始まる先発医薬品の負担増

Q 10月から行われる先発医薬品の選定療養化とは、どのようなものですか?

 101日から、後発医薬品(ジェネリック医薬品)がある薬で、先発医薬品(長期収載品)の処方を希望された場合、通常の窓口負担(13割)に加えて、特別な料金を徴収します。より具体的には、先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1相当の料金を指し、課税対象となるため10%の消費税分を徴収します。このことは先発医薬品の選定療養化といえます。これは、保険診療と保険外診療の混合を例外的に認めている「保険外併用療養費」という制度です。歯科では金属床総義歯、前歯部の金属歯冠修復に使用する金合金などで、患者さんから徴収する特別な料金の内容を厚生局に報告する必要があります。なお、本件の先発医薬品の選定療養は報告の必要はありません。

先発医薬品が医療上必要と判断した場合(別途に記表に示した4項目)は、選定療養の対象外とすることができます。

Q「院外処方」と「院内処方」で説明してください。

「院外処方」として101日から処方箋様式が変更されます。「医療上の必要性」により後発医薬品への変更を不可とする場合、「変更不可(医療上必要)」欄で該当医薬品にチェックします。また、「医療上の必要性」がなく、患者さんの希望により先発医薬品を処方する場合は「患者希望」欄で該当医薬品にチェックします。なお、「変更不可(医療上必要)」欄と「患者希望」欄のいずれもチェックしなければ、薬局で患者さんが先発医薬品か後発医薬品かを選択し、先発医薬品を希望された場合は、選定療養の対象となり、前述の特別な料金が徴収されます。

「院内処方」の医療機関も先発医薬品の選定療養の対象ですが、厚生労働省からの事務連絡(712日付)で、院内で後発医薬品を採用していない場合は、「後発医薬品を提供することが困難な場合」の特別な事情に該当するため、選定療養の対象にはならず、従来の保険給付になるとしています。ただしこの場合は、その理由をレセプトに記載する必要があります。

なお、院内での注射は選定療養の対象ですが、「院内処方」と同じく院内で後発医薬品を採用していなければ、対象にならないと解釈できます。

国は、高齢者の窓口負担割合の引き上げや、高所得者の年金の削減などを行い、社会保障費の抑制を進めています。その一つに今回の先発医薬品における患者負担増があります。現状、後発医薬品において、先発品より効果が低いとの報告や、添加物アレルギーの発現が認められたなどの報道があり、患者さんが不安に感じることは理解できます。行政には後発医薬品の効果や安全性を示していただきたいところです。

東京歯科保険医協会

会長 坪田有史

(東京歯科保険医新聞202410月号掲載)