【教えて! 会長!!  Vol.88】 マイナ保険証トラブル調査結果について

教えて! 会長!! Vol.88/マイナ保険証トラブル調査結果について

Q 12月2日まであと1カ月ですね。

 周知の通り、122日から健康保険証の新規発行が終了します。協会は医療DXに反対していませんが、拙速に進められ1カ月弱に迫ったマイナ保険証への完全移行へのスタートは、患者・国民と医療機関にとって「時期尚早」と考え、当会は現行の保険証との併用を訴えています。

他方で、122日からのご自身の医院での対策などを考える上で、全国や東京都の歯科医療機関の現状を知っておくことが必要です。そこで、当会会員を含めた全国保険医団体連合会(以下、保団連)の調査結果をピックアップして紹介します。

Q どんな調査でしょうか。

 政府は今年4月に「マイナ保険証の登録データを住民基本台帳データと照合し、必要な確認が完了したことから、新規加入者のデータのチェックシステムを57日から稼働する」と説明しました。そして、5月から7月にかけてマイナ保険証の利用促進を進めました。そこで、本当に患者・国民や医療機関が安心してマイナ保険証を利用できる状況になったのか、その現状を知るため、当会も参加して、保団連が全国規模で5月以降のマイナ保険証トラブル調査を実施しました。調査は8月から9月にかけて行い、39都道府県(43保険医協会・医会)12,735医療機関から回答を得ました(歯科診療所2,574、医科診療所8,529、病院754、無回答・その他878)。そのうち、当会の回答数は208でした。

「今年5月以降のマイナ保険証、オンライン資格確認のトラブル・不具合」について示します。「トラブル・不具合があった」との回答は、当会67.3%、全体で70.1%と大きな差はなく約7割でした。なお、前回の調査(2023101日以降のマイナ保険証トラブル調査では59.8%にあたる5,188医療機関)よりも約10%増加していました。この結果、マイナ保険証の利用に多くの問題があり、トラブルが増加していることが分かりました。に「トラブルの類型/『あった』と回答した医療機関」を示します。当会、全国ともに、トラブル内容の上位3位は、「●が出る」「カードリーダーの接続不良・認証エラー」「資格確認が無効」でした。最も多い「●が出る」とは、「髙(はしごだか)」や「濱」など、氏名に常用漢字以外が含まれる場合に起こるエラーです。再診の方なら対応できますが、初診の方で「●」が出た場合、氏名が不明で別の対応が必要となります。

先生方の医院ではいかがでしょうか。今までまったく問題が生じていない医院もあるでしょう。しかし、東京都、さらに全国の医療機関で生じている問題を把握しておくことで、現在、さらに122日以降のマイナ保険証に対する心構えができると思います。

Q 「保険証が12月2日に廃止されること」についての設問の結果は。

 に結果を示します。右側が当会のみ、左側が全体の結果です。保険証の廃止を「延期すべき」「保険証は残すべき」、「延期」と「残す」の両方にチェックした回答を合わせると、当会で88.0%、全国で88.1%と、ほぼ同数であり、9割近くが122日からの健康保険証の新規発行が終了することに否定的といえます。

本稿の執筆時には、まだ衆議院選挙の結果は出ていませんが、選挙前に得た当会独自の調査「衆院選2024政党アンケート」の中で、健康保険証存続についての各党の意見に明確な違いがありました。122日は過ぎてしまいますが、年明けに召集される通常国会で、マイナ保険証関連の議論が活発に行われることに期待します。そのために当会では現在、請願署名「現行の健康保険証を残してください」を行っています。署名は1月の通常国会に提出しますので、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京歯科保険医協会

会長 坪田 有史

(「東京歯科保険医新聞」202410月号掲載)