解 説 : 保険証の発行終了で起きる2025年問題とは/保険証の有効期限終了と更新手続きの留意点
昨年12月2日、健康保険証の新規発行が終了となった。マイナ保険証の利用率が11月時点で18.52%しかない中での終了である。
これにより、現行の健康保険証の有効期限は最長25年12月1 日までとなり、マイナ保険証がない患者には、今後「資格確認書」が発行されることとなる。マイナ保険証を持っている場合、基本的に「資格確認書」は発行されないため、「資格確認書」が必要であればマイナ保険証の登録解除が必要になる。
また、マイナンバーカードの電子証明書は5年ごとに更新が必要であり、25年度は更新時期を迎える患者が24年度の約2.6倍に増える。今回は、マイナ保険証の登録者が遭遇する25年の注意点を解説する。
最長1年は保険証使える不安なら解除リーフを現在の健康保険証は、24年12月2日以降も有効期限が切れるまでは利用できる(図1)。よって、マイナ保険証に切り替えたくない場合は、保険者に対して登録解除の申請を行う。
協会は、保険者ごとの健康保険証の有効期限およびマイナ保険証の登録解除方法を解説した患者向けの「マイナ保険証解除リーフレット」を、会員に無料配布している。マイナ保険証に不安がある患者さんには、ぜひ窓口で配布していただきたい(ご注文は電話03―3205―2999まで)。
◆電子証明書の更新案内到着時の注意点
マイナンバーカードの電子証明書には有効期限があり、5年ごと(5回目の誕生日まで)に更新手続きが必要になる。25年度は更新を迎える人が2768万人おり、24年度の176万人の約2.6倍に増えるため、この問題は24年度以上に深刻化する。
更新手続きの流れは、有効期限の2〜3カ月前をめどに対象者に案内が送付され、それに沿って区市町村窓口で手続きする仕組みとなっている。仮に更新手続きを忘れた場合、マイナ保険証は使用できなくなり代わりに資格確認書が発行される。さらに、猶予措置も設けられており、電子証明書の有効期限が切れた後でも、最大で4カ月間は薬剤などの情報取得はできないが、マイナ保険証での資格確認はできる(図2)。
全国民に資格確認書を自動発行すべきこのように、マイナ保険証の問題点の一つに、健康保険証と異なり自ら手続きが必要(申告制)な点があげられる。マイナ保険証で資格確認ができないトラブルの中には、更新手続き忘れが原因とみられるものもある。申告制であることは資格確認書も同様で、現状は「当面の間」申請なしにマイナ保険証がない患者に対して、資格確認書が自動発行されることになっている。申告制が前提であるマイナ保険証を原則とすることが、現場に混乱を生む一因といえる。
協会は、国会議員や行政などへの要請において、資格確認方法の乱立による混乱を軽減する視点も含め、マイナ保険証の有無にかかわらず、全国民に自動的に資格確認書(カード型など)を発行することを求めている。
保険証の存続を求める署名1月末までに協会へ送付を25年には健康保険証の発行終了によるさまざまな問題が発生することが懸念されている。問題の解決には、まずは健康保険証を存続したうえで、生じたさまざまな問題点を一つひとつ解決し、国民の不安を解消することが肝要である。
協会は今年の通常国会で「現行の健康保険証を残してください」請願署名を提出する。お手元にある署名は、ぜひとも1月31日(金)までに協会へ送付していただきたい。