都内歯科診療所 厳しい経営明らかに/会員医業収益の最頻値が医療経済実態調査を下回る

都内歯科診療所 厳しい経営明らかに/会員医業収益の最頻値が医療経済実態調査を下回る

◆次世代のために求められる診療報酬引き上げ

協会が昨年10月に実施した「会員の意識と実態調査」(以下、会員調査)の結果、会員の多くを占める個人立の歯科診療所における医業収益の最頻値は、保険・自費ともに、厚生労働省が20235月に実施した「第24回医療経済実態調査」(以下、実調)の結果を下回っており、東京の歯科診療所の経営は厳しい状況であることが明らかになった。また、将来を担う若手歯科医師のために必要なことについては、約80%が「診療報酬の引き上げ」であると回答している。

今後、次期診療報酬改定の議論が行われ、年末には改定率が決定される見通しだが、技術料を中心とした大幅な診療報酬の引き上げが求められる。

◆東京は保険も自費も医業収益が低い

会員調査には、1,658件(回答率27.6%)の回答が寄せられたが、うち79.8%は個人立の歯科診療所であった。

個人立の歯科診療所における保険診療の年間売上は、図1の通りで、その最頻値は1,800万円~2,400万円(15.1%)であった。実調によると、22年度の保険診療収益の最頻値は約2,522万円と報告されている。調査時期が異なるため単純に比較できないが、24年度の診療報酬改定がプラス改定であったにも関わらず、実調よりも会員調査の最頻値の方が低かった。サンプルの違いはあるにしても、東京の歯科診療所の保険診療収益は全国的に見て低い状況にあると言えそうだ。

同様に、自費診療の年間売上の分布は図2の通りである。最頻値は100万円未満(22.7%)だが、実調では22年度の「その他診療収益」(自費診療収益など)の最頻値は約410万円となっている。会員調査の最頻値の方が低い傾向は変わらず、最頻値だけで見れば東京の自費診療収益も高いとは言えない。

このように、協会の会員調査は、明らかに東京の歯科診療所は経営が厳しいという現状を物語っている。

◆診療報酬引き上げ次世代のためにも必要

協会の会員調査では、若い世代の歯科医師が魅力を感じる職にするために必要なことを聞いているが、個人・法人立などを含む回答結果は図3となった。

最も多かったのは、「診療報酬の引き上げ」(79.6%)で、「経済的な負担軽減」が続いた。さらに、「診療報酬改善で重視すべき内容」についての問いでは、最も多い回答は「保険診療だけで経営が成り立つ点数設定」(65.7%)であり、診療報酬の改善を求める声が一番大きい。

◆総枠拡大の声を国会・行政へ/歯科署名にご協力を

現状を解決するには、診療報酬の大幅な引き上げが必要である。さらに、不合理な算定要件の是正、治療が必要な患者が自己負担を気にせずに歯科診療所に通院できる負担軽減策の実現も必要である。それらの実現には、現場の声を国会や行政に届ける必要がある。協会は、2月から「保険でより良い歯科医療の実現を」求める請願署名を「月刊保団連」2月号に同封して会員にお届けしている。ぜひ、協力をいただきたい。

また、署名用紙の追加、受付用の署名用紙回収箱を無料配布している。希望者は協会運動本部に電話(03-3205-2999)にてお申し込みいただきたい。