3つのポイントで全身疾患等回避を/医療安全講習会で雨宮啓氏が強調
協会は2月27日、「歯科医師と歯科衛生士とで学ぶ臨床歯科麻酔学︱全身疾患やストレスによるリスクを回避する3つのポイント︱」をテーマに、藤沢歯科ペリオ・インプラントセンターの雨宮啓氏を講師に迎え、医療安全講習会を開催。会場9名、WEB76名の合計85名が参加した。
まず雨宮氏は、歯科麻酔学的配慮として、歯科治療を受けることによる精神的ストレス、局所麻酔薬や内服薬(抗菌剤や鎮痛剤)の使用、超高齢化や生活習慣病の増加により、生体予備力の低下したハイリスク患者の治療などで起こる偶発症があると説明。
次に、虚血性心疾患患者の局所麻酔薬は血管収縮薬に注意する。健康成人の基準投与量はアドレナリン含有リドカイン塩酸塩製剤1.8mlCt換算8.8本であるが、肥大型心筋症や甲状腺機能亢進症、重症糖尿病患者にはアドレナリン無添加麻酔薬の使用が好ましく2022年より伝達麻酔も保険適用追加になったスキャンドネストⓇなどを活用する。心血管疾患患者の局所麻酔下における治療時合併症は90分を超えると増加するので、手術時間は90分以内にとどめ、疼痛や精神的ストレスを与えない配慮が必要なことを解説した。
さらに、今年2月に開催された厚生労働省の歯科衛生士の業務のあり方等に関する検討会での歯科衛生士による局所麻酔行為に関して「歯科診療の補助行為とみなされ、歯科衛生士法に違反しない」との考え方を紹介した上で、現在の歯科衛生士学校では局所麻酔行為を実施する教育は行っていないと説明。同検討会では歯肉縁上、縁下歯石除去(SRP)時の疼痛除去を目的とする場合としてはどうかとされていること、さらに麻酔実施の研修内容案が示されたと説明した。
会員アンケートからも「解りやすい説明でよく理解できた」と好評だった。
◆講演の模様を動画配信中
講師のご厚意により、講演を動画配信しているので、ぜひ、ご覧いただきたい。視聴にはデンタルブックアカウントが必要。