第42回定期総会 決議
今国会に上程された医療・介護総合法案は、19もの法案をまとめたものであり、その審議は衆議院28時間、参議院27時間というわずかな時間しかかけず、6月18日に自公の賛成多数で強行採決され、参議院本会議で成立した。審議では次々と法案の不備が明らかになったにもかかわらず、採決強行されたのは国民の声を踏みにじる行為であり、強く抗議するものである。
政府は「地域包括ケアシステム」という絵図を描いている。入院医療では病院にいる患者を追い出し在宅へ移動をさせ、外来医療では「ゲートキーパー」である「主治医」が治療を受け持ち、患者数を5%削減させるなどを目指している。しかし、同システムではボランティア、NPO、民間企業などが担い手とされており、「机上の空論」に過ぎない。医療・介護・福祉のインフラの整備の見通しもないままに、こうした計画が進めば、必要であっても給付を受けることができない方を多く生み出すことになりかねない。
また、政府が進める「成長戦略」は社会保障制度を営利追求の対象にするものであり、国民皆保険の解体へ進む危険な道と言わざるを得ない。財政制度等審議会では社会保障の財政支出が「財政悪化の最大要因」と決めつけ、いっそう強力な給付削減と負担増を求め、「受診時定額」負担や公的給付範囲の縮小、医療費総額管理制度などを提案している。
私たちは医療に携わる者として、社会保障制度を形がい化させる動きに対し反対の意思を表明するとともに、国民や医療従事者が安心できる医療制度・社会保障制度を実現させるために、政府などに対し、下記事項を速やかに行うよう求めるものである。
記
一、低い歯科医療の技術料を大幅に引き上げること。
一、保険診療に「ゼロ税率」を適用すること。消費税率10%への引き上げを中止し、目的税化を行わないこと。
一、混合診療を解禁する「患者申出療養制度(仮称)」を撤回すること。
一、高点数医療機関を対象とした、集団的個別指導と個別指導を速やかに廃止するなど、不当な個別指導、監査を改めること。
一、70~74歳の高齢受給者の窓口負担を1割に戻すとともに、年齢で差別する後期高齢者医療制度を廃止すること。
一、義務教育就学児医療費の助成制度は対象年齢を15歳までを18歳までに引き上げること。
以上、決議する。
2014年6月21日
東京歯科保険医協会
第42回定期総会