「骨太の方針2021(仮称)原案」の内容判明/歯科分野では「受診困難者を視野に入れた歯科におけるICTの活用」の方針打ち出す
6月9日、第8回経済財政諮問会議(議長:菅義偉/内閣総理大臣)が総理大臣官邸で開催された。その際に内閣府事務局から資料として「経済財政運営と改革の基本方針2021(仮称)原案」、いわゆる「骨太の方針2021」が提示され、構成員による協議・検討が加えられた。第1章では「新型コロナウイルス感染症の克服とポストコロナの経済社会のビジョン」を取り上げ、政府としての最重要事項がコロナ対策であることを打ち出している。
特に歯科に関係する事項・記述を見ると、第3章「感染症で顕在化した課題等を克服する経済・財政一体改革」の中で、「全身との関連性を含む口腔の健康の重要性に係る国民への適切な情報提供、生涯を通じた歯科健診、オーラルフレイル対策・重症化予防にもつながる歯科医師、歯科衛生士による歯科口腔保健の充実、歯科医療専門職間、医科歯科、介護、障害福祉機関等との連携を推進し、飛沫感染等の防止を含め歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む」ことを強く訴えるとともに、「今後、要介護高齢者等の受診困難者の増加を視野に入れた歯科におけるICTの活用を推進する」としている。
これまでの骨太の方針の中における歯科に関連の記述を振り返ると、「骨太方針2019」では、①口腔の健康は全身の健康にもつながることから、生涯を通じた歯科健診の充実、入院患者や要介護者を始めとする国民に対する口腔機能管理の推進など歯科口腔保健の充実や地域における医科歯科連携の構築など歯科保健医療の充実に取り組む、②病院・診療所の機能分化・機能連携等を推進しつつ、かかりつけ機能の在り方を踏まえながら、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の普及を進める―の2点を初めて打ち出した。また、「骨太方針2020」では、「感染症の予防という観点も含め、口腔の健康が全身の健康にもつながるエビデンスの国民への適切な情報提供、生涯を通じた歯科健診、フレイル対策・重症化予防にもつながる歯科口腔保健の充実、歯科医療専門職間、医科歯科、介護等関係者との連携を推進し、歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む」ことが明記された。
それらに対し、今年の「骨太方針2021」は、新たに「飛沫感染防止とICT活用」という視点を打ち出したものとうかがえる。