「骨太の方針2021」を閣議決定/「生涯を通じた切れ目のない歯科健診」を提唱

「骨太の方針2021」を閣議決定/「生涯を通じた切れ目のない歯科健診」を提唱

政府は6月18日、「経済財政運営と改革の基本方針2021」、いわゆる「骨太方針2021」を閣議決定した。今回の骨太方針のメインテーマは「「日本の未来を拓く4つの原動力~グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策~」となっている。同日の閣議に先立って開催された経済財政諮問会議では、議長の菅義偉首相が「骨太方針では、まずは新型コロナ対策に最優先で取り組みながら、特にグリーン、デジタル、活力ある地方づくり、少子化対策の4つの課題に重点的な投資を行い、長年の課題に答えを出し、力強い成長を目指していく」とし、感染症が拡大、蔓延延した場合の病床の確保、ワクチンや治療薬の実用化などの法的措置について、速やかに検討する方針を明らかにしている。

「骨太の方針2021」全体の構成は、①新型コロナウイルス感染症の克服とポストコロナの経済社会のビジョン、②次なる時代をリードする新たな源泉~4つの原動力と基盤づくり、③感染症で顕在化した課題等を克服する経済・財政一体改革、④当面の財政運営と令和4年度予算編成に向けた考え方―の4章からなり、その下に中項目、小項目が設けられ、具体策が明記されている。全体的としては、政府の最重要事項はコロナ対策であることを打ち出している。

◆今回指摘された歯科関連事項

4章の中で、特に歯科に関しては③の「感染症で顕在化した課題等」の中で触れており、「全身との関連性を含む口腔の健康の重要性に係るエビデンスの国民への適切な情報提供、生涯を通じた切れ目のない歯科健診、オーラルフレイル対策・疾病の重症化予防にもつながる歯科医師、歯科衛生士による歯科口腔保健の充実、歯科医療専門職間、医科歯科、介護、障害福祉機関等との連携を推進し、歯科衛生士・歯科技工士の人材確保、飛沫感染等の防止を含め歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む」方針を打ち出すとともに、「今後、要介護高齢者等の受診困難者の増加を視野に入れた歯科におけるICTの活用を推進する」とし、歯科におけるICT活用を重視する方針を打ち出している。

◆これまでの歯科の記述

過去、骨太方針で明記された歯科関連内容を振り返ると、「骨太方針2019」で初めて歯科関連事項が打ち出され、口腔の健康は全身の健康にもつながることから、生涯を通じた歯科健診の充実、入院患者や要介護者を始めとする国民に対する口腔機能管理の推進など歯科口腔保健の充実や地域における医科歯科連携の構築など歯科保健医療の充実に取り組む、病院・診療所の機能分化・機能連携等を推進しつつ、かかりつけ機能の在り方を踏まえながら、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の普及を進める2点が明記された。一方、「骨太方針2020」では、「感染症の予防という観点も含め、口腔の健康が全身の健康にもつながるエビデンスの国民への適切な情報提供、生涯を通じた歯科健診、フレイル対策・重症化予防にもつながる歯科口腔保健の充実、歯科医療専門職間、医科歯科、介護等関係者との連携を推進し、歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む」などが明記された。双方ともに「生涯を通じた歯科健診」が必須である点を強調しており、この点は今回の骨太方針でも継承されている。

また、今年の方針で歯科関連事項の中で新たに打ち出された視点は、「飛沫感染防止」と「歯科におけるICT活用」の2点だ。

◆医療費削減策の緻密化や医療費扶助の在り方検討も

一方、医療費削減に関する取り組みについては、都道府県医療費適正化計画での「医療に要する費用の見込み(以下「医療費の見込み」という。)については、定期改訂や制度別区分などの精緻化」を図りつつ、医療費が見込みを著しく上回る場合の対応、都道府県の役割や責務の明確化を図るとしている。また、「後期高齢者医療制度の在り方、生活保護受給者の国保及び後期高齢者医療制度への加入を含めた医療扶助の在り方の検討を深める」方針を打ち出している。

◆マイナンバーとオンライン

そのほか注視すべき点を見ると、昨年暮れに閣議決定された「デジタル・ガバメント実行計画」との関連で、「2022年度末にほぼ全国民にマイナンバーカードが行き渡ることを目指すとの方針の下普及に取り組む」とし、具体策として「マイナンバーカードの健康保険証、運転免許証との一体化などの利活用拡 大、スマホへの搭載等について、国民の利便性を高める取組を推進する」方針も打ち出している。

また、「デジタル時代の官民インフラを今後5年で一気呵成に作り上げる。」ことや「オンライン化されていない行政手続の大部分を、5年以内にできるものから速やかにオンライン化し、オンライン化済のものは利用率を大胆に引き上げる」など、向こう5年以内のオンライン化目標を掲げている。