厚生労働省は9日、「2019年度国民医療費」(確定値)を発表した。国民医療費全体の金額は対前年度比2.3%増の44兆3895億円となり、前年度を上回る過去最高額となっているほか、国民1人当たりでは2.5%増の35万1800円となり、過去3年で見ると、ともに過去最高額となっている。その背景には、高齢化進展、医療の高度化などがあるものとみられる。また、国民医療費が40兆円を超えるのは7年連続となっている。各メディアの報道によると、厚生労働省は、新型コロナ禍の影響に関しては、「2019年度は、本格的に感染が拡大する前だったため、その影響はない」としている。
◆歯科医療費は構成比6.8%で3兆150億円に
今回の国民医療費を診療種類別にみると、医科診療医療費は31兆9,583億円(構成割合72.0%)、そのうち入院医療費は16兆8,992億円(同38.1%)、入院外医療費は15兆591億円(同33.9%)となっている。
また、歯科診療医療費は3兆150億円(同6.8%)、薬局調剤医療費は7兆8,411億円(同17.7%)、入院時食事・生活医療費は7,901億円(同1.8%)、訪問看護医療費は2,727億円(同0.6%)、療養費等は5,124億円(同1.2%)となっている。
対前年度増減率をみると、医科診療医療費は2.0%の増加、歯科診療医療費は1.9%の増加、薬局調剤医療費は3.6%の増加となっている。
◆65歳以上の医療費は27兆629億円に
そのほか、年齢階層別に国民医療費を見ると、65歳以上の高齢者の総額が27兆629億円で全体の約6割を占めた。1人当たりでは65歳未満が19万1900円だったのに対し、65歳以上は75万4200円で4倍近い水準となっている。