歯科関連事項の内容を見る/次期改定に関する中医協資料の中で明記

歯科関連事項の内容を見る/次期改定に関する中医協資料の中で明記

 

昨日1月13日に厚労省内で開催された中医協では、医療機器の保険適用、DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応などについて協議・検討を加えた。その中で、これまでの議論を整理した資料として「現時点の骨子」を配布し、内容を再確認した。同資料の中に明記された歯科関連事項を以下に抜粋して紹介する。

 

◆周術期口腔機能管理を推進する上で、医療機関相互の連携等が重要であることから、以下のような見直しを行う。

(1)悪性腫瘍手術等に先立ち歯科医師が周術期口腔機能管理を実施した場合に算定できる周術期口腔機能管理後手術加算について、周術期における医科と歯科の連携を推進するよう評価を拡充する。

(2)病院における周術期口腔機能管理を推進する観点から、歯科を標榜している病院に係る歯科訪問診療料の要件を見直す。

(3)がん等に係る放射線治療又は化学療法の治療期間中の患者に対する周術期口腔機能管理料について、対象患者及び対象期間を見直すとともに、当該患者に対する周術期専門的口腔衛生処置を評価する。

 

◆医科と歯科の連携による栄養サポートの推進を図るため、院内及び院外の歯科医師が、栄養サポートチームの一員として診療を実施した場合を評価する。

 

◆地域包括ケアシステムの中で地域完結型医療を推進する上で、定期的かつ継続的な口腔管理により口腔疾患の重症化を予防し、歯の喪失リスクの低減を図る、かかりつけ歯科医の機能を評価するため、以下のような見直しを行う。

(1)エナメル質初期う蝕に対する定期的かつ継続的な管理を評価する。

(2)歯周基本治療等終了後の病状安定期にある患者に対する定期的かつ継続的な管理を評価する。

(3)口腔機能の低下により摂食機能障害を有する在宅患者に対する包括的な管理を評価する。

 

◆歯科における効率的で質の高い在宅医療の提供体制を確保するため以下のような見直しを行う。

(1)在宅を中心としつつ、地域の病院等とも連携して歯科訪問診療を実施している歯科診療所を評価する観点から、在宅かかりつけ歯科診療所加算の施設基準及び名称の見直しを行う。

(2)口腔機能が低下し摂食機能障害を有する患者に対する口腔機能の管理について、包括的な評価を行う。

(3)歯科訪問診療料について、歯科訪問診療の実態に即したものとするため、以下のような見直しを行う。

 ①同一建物で1人に対して歯科訪問診療を行う場合において、患者の全身状態等により診療時間が20分未満となる場合の評価を見直す。

 ②同居する同一世帯の複数の患者に対して診療をした場合等、同一の患家において2人以上歯科訪問診療を行った場合の評価を見直す。

 ③歯科訪問診療を行う歯科医療機関と「特別の関係」にある施設等に訪問して歯科訪問診療を行った場合の評価を見直す。

(4)同一建物において同一日に複数の患者に対して歯科訪問診療を行った場合等について、歯科訪問診療料の適正化を行う。

(5)歯科訪問診療で求められる診療の重要性及び困難性を考慮し、歯科訪問診療で行う処置等について評価を見直す。

(6)歯科の標榜がない病院に入院中又は介護保険施設に入所中の患者に対して、歯科訪問診療を行う歯科医師が栄養サポートチーム等に加わり、その評価に基づいて歯科訪問診療を行った場合を評価する。

 

◆口腔疾患の重症化予防・口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進。

(1) 患者にとって安心・安全な歯科外来診療を行うための総合的な環境整備に係る取組を推進する観点から、歯科外来環境体制加算について、初診時及び再診時の評価を見直す。

(2)全身的な疾患を有する患者に対する歯科医療の充実を図る観点から、以下のような見直しを行う。

 ①全身的な疾患を有する患者の歯科治療を行う際に、治療内容等の必要に応じてバイタルサインのモニタリングを行った場合を評価する。

 ②糖尿病を有する患者の歯周病治療において、歯周組織の炎症の改善を図り、歯周基本治療をより効果的に行う観点から、歯周基本治療に先行して局所抗菌剤の投与が可能となるよう、医科と歯科の連携を含めて、歯周疾患処置の算定要件を見直す。

(3)口腔疾患の重症化を予防し、歯の喪失リスクを低減する観点から、以下のような見直しを行う。

 ①エナメル質初期う蝕の積極的な再石灰化を促進し、う蝕の重症化を予防する観点から、フッ化物塗布の適応の見直しを行う。

 ②歯周病の重症化を予防する観点から、歯周基本治療等終了後の病状安定期にある患者に対する管理である歯周病安定期治療の算定要件を見直す。

(4)各ライフステージの口腔機能の変化に着目して、以下のような見直しを行う。

 ①有床義歯又は舌接触補助床を装着した患者に対して、口腔機能の客観的な評価を行うため、咀嚼機能検査等を実施した場合を評価する。

 ②口唇口蓋裂患者に対するホッツ床等の口腔内装置の装着を行った患者に対して当該装置に係る調整及び指導等を実施した場合を評価する。

(5)歯科固有の技術の評価について、以下のような見直しを行う

 ①マイクロスコープ(歯科用実体顕微鏡)及び歯科用3次元エックス線断層撮影を用いて歯の根管の数及び形態を正確に把握した上で根管治療を実施した場合を評価する。

 ②歯科疾患管理料を含む医学管理等において、文書提供等の要件を見直し、実態に即した評価を行う。

 ③抜歯手術について、抜歯部位に応じた評価となるように難抜歯の評価を見直す。

 ④補綴時診断料、平行測定検査等について、臨床の実態に即した評価となるよう見直す。

 ⑤義歯新製から6か月以内に実施する有床義歯内面適合法について、有床義歯修理の評価と整合性を図る。

 ⑥歯科用アマルガム等、歯科医療技術の進歩に伴い実施頻度が減少している技術及び新たな材料の普及により使用頻度が減少している特定保険医療材料について、廃止を含めて見直す。その他、歯科医療の推進に資する技術については、医療技術評価分科会等の検討を踏まえつつ、適切な評価を行う。