休日手当と時間外労働について
質問1 本年5月の大型連休で従業員に勤務をさせた場合、休日手当は付けなければいけないのか。また、つけなくても良いケースを教えてください。
回答1 割増賃金については、労働基準法第37条に時間外労働は125%、深夜労働は125%、時間外深夜労働は150%、休日労働は135%、休日深夜労働は160%、60時間越えの時間外労働は150%、60時間越え時間外深夜労働は175%の割増賃金を支払わなければならないと定められています。労働者の数が300人未満の事業所については、2023年3月31日まで60時間越えの割増賃金の支払い及び引き上げ分の支払いに代わる休暇の付与の適用が猶予されます。今回の大型連休で休日手当の対象となるのは、医院として休日をどう定めているかが焦点になります。詳しくは、このコーナーの2019年2月1日号(No.587)「 2019年5月の10連休の労務対応について」本欄、もしくはデンタルブック内のコンテンツをご覧ください。また、大型連休中の勤務が休日手当の対象となる場合、その日の振替休日を別に設けることで、休日手当の付与を避けることができるケースもあります。ただし、これには就業規則への明記、もしくは労働者への周知が必要になります。明記や周知のない場合、労働者側の訴えがあれば過去2年分の休日出勤手当の賠償をしなければなりません。
質問2 振替休日と代休の違いについて教えてください。
回答2 振替休日は事前に労働者と使用者との個別合意によって休日と労働日の位置を変更することをいいます。これには就業規則への明記、もしくは労働者への周知が必要です。これにより、あらかじめ休日と定められた日が労働日となり、その代わりとして振り替えられた日が休日となります。ただし、振り替えたことによって、その週の労働時間が一週間の法定労働時間を超えた場合は、時間外労働分の割増賃金の支払いが必要になります。代休は休日労働が行われた場合、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものであって、前もって休日を振り替えたことにはなりません。したがって、休日労働分の割増賃金を支払う必要があります。
質問3 当院では従業員は原則定時で帰ってもらっているが、普段からどうしても勤務時間を過ぎて労働をしてもらわなければいけないことがある。8時間は超えていないのだが、取り扱いは時間外労働になるのか。
回答3 法律では8時間を超えた段階から時間外の支払い義務が生じます。所定労働時間が7時間で残業を1時間した場合、超過した1時間分の賃金を支払う必要はありますが、割増をつける必要はありません。ただし、会社の就業規則に所定労働時間を超えた場合に時間外手当を支給するなどの文言があれば、そちらに従い、1時間の時間外手当を支給する必要があります。どのような取り扱いをしてきたかによる労使慣行なども優先されますので、取り扱いは就業規則に明記するといいでしょう。