出産・育児休業期間の給付金/機関紙2014年11月1日号(№536号)より

出産・育児休業期間の給付金/機関紙2014年11月1日号(№536号)より

 

質問 当院女性スタッフが妊娠し、出産ぎりぎりまで仕事をしたいと申し出てきたが、そのようにしてよいか。

回答 労働基準法では「6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない」と定めています(第65条第1項)。したがって、スタッフご本人が働きたいと申し出た場合は就業させても問題ありません。

 

質問 このほどスタッフが出産した。早く職場復帰してほしいが、いつ頃から復帰してもらえば問題はないか。

回答 労働基準法では、「産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない」と定めています(第65条第2項)。これはご本人から休業の請求の有無にかかわらず適用されますのでご注意ください。なお、同じ条文では「ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差支えない」と定めていますので、主治医の診断書などで職場復帰を判断していけばよいと考えられます。

 

質問 産前・産後の休業を取得した場合、その賃金を支払わなくても問題ないか。また支払わない場合、代替策はないか。

回答 産前産後の休業期間については、賃金を支払わなくても問題ありません。また、そのスタッフが健康保険の被保険者の場合健康保険制度の中の出産手当金という給付金を請求できます。これは賃金の2/3相当額が支給されるものです。もし休業期間中に賃金が一部支払われていた場合、2/3相当額と賃金の差額が支給されます。なお、国民健康保険の場合、保険者にもよりますが、出産手当金制度がないことが多いようです。

 

質問 出産後、女性スタッフ(正社員)が育児休業を申し出てきた。育児休業期間中に国から給付が出るそうだが、どのようなものか。

回答 雇用保険の被保険者が育児休業を取得する場合、育児休業給付金という給付金を子どもが1歳になるまでの間、請求することができます。なお、2014年4月以降の育児休業については給付額が休業前の賃金の67%が支給されます(休業後180日より後は50%)。なお、支給要件としては休業前2年の間、欠勤等がなく通常の勤務をした月が12ヵ月以上あることが必要です。また、休業期間中、賃金が支払われた場合、給付金が減額、あるいは不支給となります。また、休業期間中も雇用保険の被保険者、すなわち医院に雇用されていることが前提となりますので、十分注意してください。

産前産後の休業や、育児休業期間中の生活保障については、先生とスタッフがこうした制度の利用についてよく相談することをお勧めします。生活保障について安心して休業できるよう配慮することで、女性スタッフが医院に定着しやすくなるものと考えられます。

なお実際の請求にあたってはハローワークや協会けんぽ、あるいは当協会まで必ずご確認ください。