№281:2012.10.1:509号
質問1 審美に印紙はいらない
ホワイトニングを施したところ患者さんから「領収書に収入印紙が貼ってない」といわれた。歯科医院の領収書には収入印紙はいらないことを伝えたが、患者さんから「審美には必要になるのではないか」といわれている。
3万円以上の金銭の受領に関しては、原則収入印紙が必要になりますが、印紙税法別表第一において「営業に関しない受領書(領収書)」は、非課税とされています。
印紙税法で営業とは、株式会社のように利益を株主に配分することができる法人とされていることから、有限会社や株式会社が発行する領収書については、収入印紙が必要となってきます。では、具体的に「営業に関しない受領書(領収書)」は、何が該当するのかということになりますが、印紙税法基本通達において医師、歯科医師、弁護士、公認会計士などが業務上作成する受領書は、営業に関しない受領書として取り扱う」とされています。
このことからその医療行為が審美であったとしても、歯科医師が業務上作成した領収書となりますので、収入印紙を貼る必要はありません。
なお、ホワイトニングなど容姿の美化を目的としているものについては、医療費控除の対象になりませんので、その旨を患者さんに伝えて下さい。
質問2 ネット銀行の留意点は
振込手数料も安いことからインターネットバンクと契約し、業者の支払や従業員の給与などの振込を検討している。しかし、この銀行は通帳が発行されない。税務調査などがあった場合、通帳がなくても大丈夫なものか。
手数料も安くパソコンから手軽に振込ができることからネット銀行は非常に便利なものです。
しかし、その反面、通帳が発行されないなど、後に過去の取引を調べる場合には、不向きと言えます。そのような管理リスクを理解した上で、医院の中でネット銀行を利用すること自体は、何ら問題はありません。ただし、ネット銀行は金銭の動きがデータのみになってしまいます。そのため、取引を行った場合には、その取引について取引をした証を残しておくことが大事です。
そこで、振込等をした際に「振込控え」などを印刷して、領収書の代わりとして保管することが望ましいでしょう。印刷したものは、正式な領収書としての効力はありませんが、振込を行った証としては一般的に通用するものです。したがって、税務調査等でネット銀行の取引を確認する場合は、その印刷物で対応することができます。
また、そもそも税務調査については、通帳自体を見せる必要はありません。見せる必要があるものは帳簿となりますので、ネット銀行の取引をきちんと記帳しておけば、通帳がないことについての問題はありません。