書類等の保存期間について/機関紙2015年9月1日号(№546号)より
質問① 診療に関する記録、その他の書類の保存期間はどうなっているのか。
回答① カルテ(診療録)をはじめ、保存が義務づけられている書類等として、X線フィルムや歯科技工指示書の控え等があります。左の別表にまとめて示しますのでご参照ください。カルテの保存期間は治療完結の日から起算して5年、カルテに添付する書類も同様に五年となっています。その他の帳簿、書類、記録等は2~3年の保存期間が定められています。なお、これらの期間は、治療完結の日から起算することとされていますのでご注意ください。別表の「患者に提供した文書等の写し」は、保険診療上、患者に対し医学管理料や情報提供料等として診療報酬請求できる行為を行うに当たって作成される文書です。主なものとしては、歯科疾患管理、歯科衛生実地指導、新製有床義歯指導、訪問歯科衛生指導、クラウンブリッジ維持管理等の文書です。カルテの保存は5年ですが、歯科診療に過誤や不満があったとして患者から訴えられた際、カルテがないとどのような治療行為を行ったか証拠が残らないことになり、歯科医院側に不利になる可能性もあります。一応の目安として、債務不履行に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間である十年を経過するまで保存しておくと、より安心といえます。その他、詳細は協会事務局までご連絡ください。
質問② 従業員の雇用や税務といった診療以外の内容に関わる書類は、何年保存すればよいのか。
回答② タイムカードのほか、労働条件通知書や解雇通知書と言った雇い入れに関する書面や退職(解雇を含む)に関する書類といった雇用に関する書類の保存期間は労働基準法では3年と定められています。なお、ハローワークに提出する雇用保険の書類(雇い入れ時と退職時の書類)は退職後4年の保存となっていますのでご注意ください。また、税務に関わる帳票類は税法で7年と定められています。もし、税務調査があった場合、過去3年分の帳票類を調査されるケースが多いですが、状況によっては最大で7年にさかのぼって調査されますのでご注意ください。