2015年分の年末調整とマイナンバー制度/機関紙2015年12月1日号(№549号)より 

2015年分の年末調整とマイナンバー制度/機関紙2015年12月1日号(№549号)より 

質問① 去る十月からマイナンバー(以下、「個人番号」)が交付され、従業員の社会保険手続きや年末調整などで個人番号を取り扱う必要性が出てくるが、今年度の年末調整の扱いはどうなるのか。また、歯科診療所の実務に与える影響についても知りたい。

回答① 今年度の年末調整で従業員に個人番号を求める必要はありません。来年度末の年末調整から必要になります(ただし、取得が必要になるケースもあり、質問2を参照)。歯科診療所は従業員の個人番号を取得し、社会保険関係の届出や税務署への提出書類に従業員の個人番号を記載することになります。また、歯科診療所は個人番号関係事務の実施者となるため、①個人番号の取得・本人確認、②利用・安全管理、③提供―の各段階に応じて注意すべき事項があります。まず、①の注意点ですが、従業員の個人番号を取得する時、個人番号が本人のもので間違いがないかを運転免許証や住民票などで確認します。ただし、従業員に扶養家族がいる場合、その扶養家族については、扶養者である従業員に本人確認義務があるので、歯科診療所は従業員の扶養家族の個人番号まで確認を行う必要はありません。また、②の注意点は、個人番号は原則として番号法で定められている利用範囲を超えて利用することはできないので、個人番号を含む特定の個人情報をむやみに利用・提供することはできません。さらに③の注意点は、提供とは従業員の個人番号を含む特定個人情報を第三者へ開示することです。

質問② 税務署から「平成二十八年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類をもらったが、これはどう扱うのか。

回答③ この申告書には、すでに個人番号の記載欄がありますが、年内は制度実施前で記入する必要はありません。2016年1月以降にスタッフが退職した場合、個人番号がないと来年の年末調整ができませんので、2016年1月からのスタートですが、今年の年末調整時に個人番号が必要になります。

質問③ 従業員が個人番号の提出を拒否した場合、どのような対応が必要か。

回答③ その場合は空欄で問題ありません。事業主としては収集に努めたが、収集できなかった旨を記録として残して下さい。

 

※国税庁のホームページに、2016年の様式が掲載されていますので、ご参照ください。