採用時と年1回健康診断の実施義務/機関紙2016年2月1日号(№551号)より
質問① 最近、知人の歯科医院から、事業主は従業員に対し1年に1回、健康診断を実施することが義務づけられているとの話を聞いたのだが。
回答① その通りです。事業主は、雇用している従業員に対し、雇い入れ時および1年に1回、必ず健康診断を実施することが義務づけられています。また、従業員がパートやアルバイトであっても、①期間の定めがないか、期間の定めがあったとしても更新により1年以上の使用が予定されているか、継続して使用されていること、②1週間の労働時間が正社員の1週間の労働時間の4分の3以上であること―の2つの条件に該当すれば、健康診断を受けさせなければいけません。
質問② 健康診断の費用負担はどうしたらよいのか。また、一概に健康診断といってもさまざまな種類があるが、健康診断の内容の規定はあるのか。
回答② 結論から申しあげると、定期健康診断における費用は事業主側が負担するというのが実際です。健康診断は事業主の命令(事業主側にとっては義務ですが)により従業員が受けるということになりますから、原則、事業主が健康診断の費用を負担すべきものとされています。ただし例外として、事業主側が用意した健康診断の場ではなく、従業員が自らの意思により、別の診療所等で健康診断を受ける場合、その費用は事業主側が負担しなくてもよいことになっています。また、健康診断の実施結果に基づき、健康診断個人票を五年間保存する義務が労働安全衛生規則で課されています。健康診断の内容は、雇入時と定期健康診断で若干異なりますが、基本的な項目は、 既往歴および業務歴の調査、 自覚症状および他覚症状の有無の検査、 身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査、 胸部エックス線検査(および喀痰検査)、 血圧の測定、貧血検査 、肝機能検査 、血中脂質検査、 血糖検査 、尿検査、心電図検査などです。従業員が1人でもいる場合は、健康診断の受診が義務づけられており、違反した場合には、50万円以下の罰金などの罰則規定が定められています。